楽しみにしていた旅行の日に、
台風が近づいてきたらどうすればよいのでしょうか。
・「せっかく予約したから行きたい」
・「キャンセル料がもったいない」
・「早く帰らなければ」
と考えてしまいますが、
台風接近時に無理な移動をすると、
暴風、大雨、洪水、土砂災害、高潮などに
巻き込まれる危険があります。
旅行前なら中止や延期、
旅行中なら安全な場所での滞在延長も立派な避難行動です。
今回は、ラボる君が防災すぐるパパとまどかママに、
旅行中・旅行計画中の台風対策を説明します。
旅行の予定より命を優先しよう
防災すぐるパパ
旅行を予約している日に台風が来そうだね。でも、まだ飛行機も欠航になっていないから
出発していいのかな?
ラボる君
運休や欠航が決まっていないことと、
安全に旅行できることは別だよ。現地の災害リスクや帰りの交通機関まで確認しよう。
交通機関が動いていても、
その後に運休して帰れなくなることがあります。
宿泊施設までの道路が通行止めになったり、
観光地から避難場所まで移動できなくなったりする可能性もあります。
台風接近時に考えるべきことは、
「目的地へ行けるか」だけではありません。
- 安全に宿泊施設まで到着できるか
- 滞在中に洪水や土砂災害が起きないか
- 暴風が始まる前に帰宅できるか
- 運休した場合に滞在を延長できるか
- 家族全員が安全に行動できるか
これらを含めて判断しましょう。
台風が接近しているときの基本方針
旅行中または旅行を計画している場合は、次の順番で考えます。
- 台風と大雨の最新情報を確認する
- 旅行先の災害リスクを確認する
- 交通機関と道路の状況を確認する
- 暴風雨になる前に中止・変更を判断する
- すでに旅行中なら安全な宿泊先を確保する
- 危険な時間帯には移動しない
大切なのは、警報が発表されてから慌てるのではなく、予定を変更できる段階で判断することです。
旅行前に確認する情報
台風の進路だけを見ない
天気予報では、
台風の中心位置や進路予報円に目が向きがちです。
しかし、台風の中心から離れた地域でも、
大雨、暴風、高波、高潮が発生することがあります。
進路予報円の外側だから安全とは限りません。
確認したい情報は次のとおりです。
- 台風情報
- 暴風・大雨・洪水・波浪・高潮の警報や注意報
- 早期注意情報
- 雨雲の動き
- キキクル(危険度分布)
- 自治体の避難情報
- 河川の水位情報
- 土砂災害警戒情報
気象庁の「キキクル」では、
土砂災害、浸水害、洪水災害の危険度を地図上で確認できます。
旅行先のハザードマップを確認する
自宅周辺のハザードマップは確認していても、
旅行先までは見ていない人が多いのではないでしょうか。
少なくとも次の場所を調べます。
- 宿泊施設
- 駅や空港
- 観光施設
- 駐車場
- 宿泊先までの道路
- 周辺の指定緊急避難場所
確認する災害リスクは次のとおりです。
| 旅行先の環境 | 確認する危険 |
|---|---|
| 海岸や離島 | 高波、高潮、暴風、船の欠航 |
| 河川の近く | 洪水、河川氾濫 |
| 市街地 | 内水氾濫、地下街・地下駐車場の浸水 |
| 山間部 | 土砂崩れ、土石流、倒木、道路寸断 |
| 温泉地 | 崖、渓流、山道の通行止め |
| キャンプ場 | 増水、倒木、テントの飛散 |
| 低地 | 浸水、避難経路の冠水 |
宿泊施設が丈夫な建物でも、
川沿いや崖の近く、
低い土地にあれば移動が必要になることがあります。
旅行を中止・延期する判断基準
台風接近中の旅行には
「この数字を超えたら必ず中止」という
全国共通の基準はありません。
家族構成、目的地、移動手段、
宿泊場所によって危険度が違うためです。
ただし、次の状況では中止や延期を強く検討します。
- 目的地に警報級の大雨や暴風が予想されている
- 往路または復路で計画運休・欠航の可能性がある
- 宿泊施設が浸水・土砂災害の危険区域にある
- 山道や海沿いの道路を通らなければならない
- 船でしか移動できない島へ行く
- キャンプ、登山、海水浴など屋外活動が中心
- 高齢者、乳幼児、妊産婦、持病のある人が同行する
- 帰宅予定日に台風が最接近する
- 滞在を延長する費用や薬を準備できない
「警報がまだ出ていない」
「欠航が決まっていない」
という理由だけで出発を決めないようにしましょう。
旅行中止はいつ判断する?
数日前
台風の進路、目的地の地形、宿泊施設のキャンセル条件を確認します。
この段階で行うことは次のとおりです。
- 宿泊施設へ安全対策を問い合わせる
- 旅行会社の変更・取消条件を確認する
- 飛行機、鉄道、船、バスの情報通知を設定する
- 帰りの便を変更できるか確認する
- 代わりの日程を家族で相談する
- 旅行保険の補償内容を確認する
前日まで
警報級の可能性や計画運休が発表されたら、
具体的に中止・延期を判断します。
予定どおり出発すると、
現地へ到着できても帰れなくなる可能性があります。
往路と復路の両方を確認してください。
当日
暴風や豪雨が始まってから
空港や駅へ向かうのは危険です。
すでに交通機関が停止している場合は、
駅や空港へ行けば何とかなるとは限りません。
事業者から来場を求められていないなら、
まず公式サイトやアプリ、電話で確認します。
キャンセル料が心配なときはどうする?
まどかママ
中止した方が安全だと思っても、
キャンセル料が気になるわ。
らぼる君
まず予約条件を確認しよう。交通機関や宿が営業している状態で自分から取り消す場合と、
事業者側が運休・休業する場合では扱いが違うことがあるよ。
台風時の取消料や返金条件は、次の要素で異なります。
- 個人手配かパッケージ旅行か
- 交通機関が運休・欠航したか
- 宿泊施設が営業しているか
- 予約プランの取消条件
- 旅行会社の約款
- 旅行保険の補償範囲
- クレジットカード付帯保険の条件
自己判断で取り消す前に、
予約サイト、旅行会社、宿泊施設、交通事業者の案内を
確認しましょう。
ただし、返金を受けられるか確認するために、
危険な旅行を続けてはいけません。
安全を優先したうえで、
予約画面、運休情報、事業者からのメールなどを保存しておくと、
後の確認に役立ちます。
旅行中に台風が近づいたら
まず宿泊施設の安全性を確認する
ホテルや旅館のスタッフに次の点を確認します。
- 建物に浸水や土砂災害の危険があるか
- 避難場所はどこか
- 避難経路は使えるか
- 館内放送や非常口はどこか
- 停電時の設備はあるか
- 連泊できるか
- 食料や飲料水を確保できるか
宿泊施設の案内を聞くと同時に、
自分でも自治体の防災情報とハザードマップを確認しましょう。
安全なホテルなら、むやみに外へ出ない
宿泊施設が浸水想定区域や土砂災害警戒区域の外にあり、
丈夫な建物なら、
外へ移動するより館内にとどまる方が安全な場合があります。
- 窓やガラス戸から離れる
- カーテンやブラインドを閉める
- スマートフォンを充電する
- 水や食料を確保する
- 靴と防災用品を枕元に置く
- 浴槽に水をためてよいか施設へ確認する
- 避難情報を継続して確認する
窓ガラスへテープを貼るなど、
施設の設備を勝手に変更してはいけません。
ホテルの指示に従いましょう。
危険な場所なら、暴風雨になる前に避難する
宿泊施設が川沿い、
海岸近く、崖の下、地下・低地などにある場合は、
自治体や施設の案内に従って早めに移動します。
内閣府は、警戒レベル4「避難指示」までに危険な場所から避難すること、
豪雨時の屋外避難や車での移動は危険であると案内しています。
| 警戒レベル | 旅行者の基本行動 |
|---|---|
| レベル1 | 最新情報を確認し、予定変更を考える |
| レベル2 | ハザードマップ、避難先、交通情報を確認 |
| レベル3 | 避難に時間がかかる人は危険な場所から避難 |
| レベル4 | 危険な場所にいる人は全員避難 |
| レベル5 | 安全な移動が難しい。直ちに命を守る行動 |
警戒レベル5を待ってから避難を始めてはいけません。
旅行中に「早く帰らない方がよい」場合
台風が近づくと、家へ帰りたい気持ちが強くなります。
しかし、次の状況では移動せず、
安全な場所で滞在を延長する方がよい場合があります。
- すでに暴風域に入っている
- 道路が冠水している
- 夜間で周囲を確認できない
- 鉄道や飛行機が運休している
- 高速道路や一般道が通行止め
- 駅や空港が大混雑している
- 現在の宿泊施設が安全
- 移動先の安全を確認できない
「自宅へ向かうこと」
と
「安全な場所へ避難すること
は同じではありません。
今いる場所が安全なら、無理に帰らず、
状況が落ち着くまで待ちましょう。
交通機関別の注意点
飛行機
- 航空会社と空港の公式情報を確認する
- 欠航が決まる前でも変更を検討する
- 空港へ向かう鉄道やバスの運行も確認する
- 振替便までの宿泊先を確保する
- 空港へ直接行く前に、手続き方法を確認する
空港が開いていても、空港までの交通が止まることがあります。
鉄道・新幹線
- 計画運休の可能性を確認する
- 運転再開直後の混雑を想定する
- 途中駅で運転が止まる可能性を考える
- 駅へ行く前に公式情報を確認する
- 駅員や施設管理者の指示に従う
船・フェリー
船は風や波の影響を受けやすく、
早い段階で欠航することがあります。
離島旅行では数日間帰れないことも考え、
薬、現金、充電器、着替えを余分に準備しましょう。
車
台風接近中の車移動には、
冠水、横風、土砂崩れ、倒木などの危険があります。
特に避けたい場所は次のとおりです。
- アンダーパス
- 河川沿い
- 海岸道路
- 崖沿いの道路
- 地下駐車場
- 冠水している道路
- 倒木や落石が見られる山道
冠水した道路へ進入してはいけません。
見た目では水深や路面状況を判断できず、
車が動かなくなる危険があります。
豪雨時は屋外避難だけでなく、
車での移動も控えるよう内閣府が注意を促しています。
ホテルに延泊できない場合
宿泊施設が満室になったり、
安全上の理由で休館したりすることもあります。
台風接近前に次の候補を確認しておきましょう。
- 同じ地域の別のホテル
- 駅や空港周辺の宿泊施設
- 親族や知人宅
- 自治体が開設する避難所
- 観光案内所が案内する一時滞在施設
避難所はホテルの代わりではなく、
災害から命を守るための場所です。
開設状況や受入条件を自治体へ確認してください。
予約なしで安全性の分からない場所へ移動するより、
現在地の安全を確認し、
施設や自治体へ相談してから行動します。
旅行先で用意しておきたいもの
最低限持ち歩きたいもの
- スマートフォン
- モバイルバッテリー
- 充電ケーブル
- 飲料水
- 行動食
- 常用薬とお薬手帳の情報
- 現金と小銭
- 身分証明書
- 雨具
- 懐中電灯
- マスク
- ウェットティッシュ
- 小型ラジオ
- 着替え
- ビニール袋
旅行先で停電すると、
スマートフォンの充電が難しくなります。
動画の視聴を控え、省電力モードを利用しましょう。
家族で共有する情報
- 宿泊施設の名称、住所、電話番号
- 旅行の日程
- 交通機関の予約情報
- 現地の避難場所
- 家族が離れた場合の集合場所
- 連絡が取れない場合の連絡方法
- 常用薬やアレルギーの情報
家族や親族へ、
現在地と予定変更を短いメッセージで伝えておきます。
情報収集で注意すること
SNSは現地の状況を知る手掛かりになりますが、
過去の映像や別の地域の画像が拡散されることもあります。
次の情報を優先しましょう。
- 気象庁
- 滞在先の自治体
- 国土交通省や道路管理者
- 利用する交通事業者
- 空港・港湾の公式サイト
- 宿泊施設
- テレビ・ラジオ
情報は発表時刻も確認します。
古い運行情報や台風進路を見て判断しないようにしましょう。
旅行前・旅行中のチェックリスト
出発前
- 台風の進路と警報級の可能性を確認した
- 旅行先のハザードマップを確認した
- 往路と復路の交通情報を確認した
- 宿の立地と避難場所を確認した
- キャンセル・変更条件を確認した
- 予定変更の判断期限を決めた
- 家族の薬や充電器を準備した
- 延泊費用や予備日を考えた
旅行中
- 自治体の避難情報を確認している
- 宿泊施設の非常口を確認した
- スマートフォンを充電した
- 水・食料・薬を確保した
- 帰宅を急ぐ必要がないか考えた
- 窓や地下から離れている
- 家族へ現在地を連絡した
- 暴風雨の最中に外出しない
ラボる君のまとめ
らぼる君
台風が近づいている旅行では、
・「行けるか」だけでなく、
・「安全に帰れるか」
・「現地で避難できるか」
まで考えよう。旅行前なら、中止や延期を早めに判断する。
旅行中なら、現在の宿が安全か確認して、
必要なら暴風雨になる前に避難するんだ。すでに大雨や暴風が始まっているときは、
駅や空港、自宅へ無理に移動しないこと。安全なホテルでの滞在延長も避難行動だよ。
旅行を中止すると、
お金や楽しみにしていた時間を失ったように感じるかもしれません。
しかし、安全に帰宅できてこそ、次の旅行を楽しめます。
予定より命を優先し、暴風雨になる前に判断する。
これが、台風接近時の旅行で最も大切な危機対策です。

