旅行のチケットや宿泊施設を予約した後に、
目的地やその周辺で大きな地震が発生することがあります。
・「旅行は諦めた方がよいのか」
・「少し待てば行けるのか」
・「旅行をやめてボランティアへ参加した方がよいのか」
と迷うでしょう。
しかし、発災直後に大切なのは、
旅行代金を無駄にしないことではありません。
救命・救援活動や、被災者の生活を妨げないことです。
一方で、被害がなかった地域まで長期間避け続けると、
観光業や地域経済を苦しめることもあります。
今回は、ラボる君が、
地震発生後の旅行について考えられる行動パターンを
家族に説明します。
旅行は諦めるのではなく「今は待つ」
防災すぐるパパ
旅行先の近くで大きな地震が起きたね。
飛行機のチケットもホテルも予約しているけれど、
どうしよう?
ラボる君
まず旅行会社ではなく、
自治体や交通機関の情報で現地の状況を確認しよう。
発災直後に観光目的で入ると、
救援活動や被災者の負担を増やす場合があるよ。
旅行を中止・延期することは、被災地を見捨てることではありません。
発災直後には、次のことが起きています。
- 救助・救急活動が続いている
- 余震が発生している
- 道路が損傷・通行止めになっている
- 電気、水道、ガスが停止している
- 食料や燃料が不足している
- 宿泊施設が避難者や支援者を受け入れている
- 病院や通信回線が混雑している
- 鉄道、飛行機、バス、船が運休している
このような時期に旅行者が入ると、
宿、食料、燃料、道路など、
被災者や救援関係者に必要な資源を使ってしまう可能性があります。
まずは旅行を中止または延期し、
受け入れ可能になるまで待ちましょう。
地震発生後に確認する5つの情報
地震が起きた地域すべてが同じ被害を受けているとは限りません。
都道府県単位の印象だけで判断せず、
訪問予定の市町村、宿泊施設、交通経路を個別に確認します。
1.被災自治体からのお知らせ
- 観光客の来訪を控えるよう要請しているか
- 避難指示や立入規制が続いているか
- 断水や停電が発生しているか
- 道路や観光施設が再開しているか
- 通常の観光客を受け入れられる状態か
SNSの投稿だけでなく、
市町村や都道府県の公式サイトを確認します。
2.交通機関と道路情報
- 飛行機や鉄道の運休
- 船やバスの欠航・運休
- 高速道路や一般道の通行止め
- 駅から宿泊施設までの交通
- 帰りの交通手段
- 緊急車両優先や一般車両の規制
目的地まで行けても、
帰りの手段がなければ現地の負担になります。
3.宿泊施設の営業状況
営業中と表示されていても、
通常営業とは限りません。
宿泊施設には、次のことを確認します。
- 建物の安全確認が完了しているか
- 水道・電気・ガスが利用できるか
- 食事を提供できるか
- 避難者や復旧関係者を優先しているか
- 一般旅行者を受け入れているか
- 周辺道路を安全に通行できるか
電話が殺到している場合は、何度も電話せず、
公式サイトや予約サイトからの連絡を待ちましょう。
4.余震・津波・土砂災害の危険
大きな地震の後には、
同程度の強い揺れが起こる可能性があります。
また、地震で斜面や建物が弱くなっていると、
その後の雨で土砂崩れが発生することもあります。
海岸地域では
津波警報・注意報が解除されるまで近づいてはいけません。
5.観光施設や地域からの発信
自治体や観光協会から
・「観光客を受け入れられる」
・「通常どおり営業している」
・「旅行で応援してほしい」
という発信が始まったら、復興旅行を検討できます。
逆に、来訪自粛や道路利用を控える要請が出ている間は待ちましょう。
行動パターン1|旅行を中止する
次のような場合は、中止する判断が適切です。
- 救命・捜索活動が続いている
- 自治体が不要不急の来訪を控えるよう求めている
- 宿泊施設が避難者や支援者を受け入れている
- ライフラインが復旧していない
- 一般車両の通行が制限されている
- 余震、津波、土砂災害の危険が高い
- 往路または復路の交通手段が確保できない
- 旅行者向けの食料や燃料が不足している
中止する場合の手順
- 旅行会社や予約サイトの災害対応を確認する
- 飛行機・鉄道・バス・船の運休情報を保存する
- 宿泊施設の休業・受入停止情報を確認する
- 予約先へ変更または取消しを申し出る
- 取消し条件と返金方法を記録する
- 旅行保険やカード付帯保険の条件を確認する
安全上の理由があっても、
すべての予約が自動的に無料キャンセルになるとは限りません。
地震ならキャンセル料はかからない?
まどかママ
地震が理由なら、ホテル代は全部返してもらえるのかしら?
ラボる君
必ず無料になるとは限らないよ。
交通と宿を別々に予約している場合は、
それぞれ別の契約として扱われることがあるんだ。
国民生活センターによると、
交通機関が運休しても、
宿泊施設が通常営業している場合、
旅行者からの取消しには
契約上のキャンセル料が発生する可能性があります。
大規模災害時に施設側が特別対応する場合もありますが、
基本的には予約時の約款や取消条件に従います。
確認するものは次のとおりです。
- 航空券や鉄道切符の変更・払戻し条件
- 宿泊予約の取消条件
- パッケージ旅行の約款
- 旅行会社から届いたメール
- 旅行保険の補償条件
- クレジットカード付帯保険
- 予約サイトの特別対応
事業者への問い合わせが集中している場合は、
受付期限だけ確認し、
ウェブ手続きを利用しましょう。
対応に納得できない場合は、
消費者ホットライン「188」へ相談できます。
行動パターン2|日程を延期して次回を待つ
旅行を完全に諦めるのではなく、
状況が落ち着いてから同じ地域を訪れる方法です。
延期が向いている場合
- チケットや宿を別日へ変更できる
- 観光施設の再開時期が未定
- 復旧作業が始まったばかり
- 余震への警戒が続いている
- 自治体が来訪再開時期を検討している
- 家族に乳幼児、高齢者、持病のある人がいる
予約先には、「中止」だけでなく、
次の選択肢がないか確認します。
- 予約日の変更
- 有効期間の延長
- 別施設への振替
- クーポンやポイントでの返還
- 旅行会社の代替ツアー
- 手数料を抑えた再予約
再計画する時期の判断
「地震から何日たてば旅行できる」という一律の基準はありません。
次の条件がそろっているかで判断します。
- 自治体が不要不急の来訪自粛を求めていない
- 宿泊施設が一般客を受け入れている
- 道路と公共交通が安定している
- 水道、電気、通信が利用できる
- 観光施設が再開している
- 余震発生時の避難場所を確認できる
- 地域から観光再開の発信がある
行動パターン3|復興後の旅行で応援する
被災地への旅行を長期間すべて避けると、
被害の少なかった地域の宿泊施設、飲食店、土産店まで
売上を失うことがあります。
安全が確認され、
地域が観光客の受け入れを再開した後なら、
旅行そのものが復興支援になります。
復興旅行でできること
- 地元の宿泊施設を利用する
- 地元の飲食店で食事をする
- 特産品や土産を購入する
- 地域の交通機関を利用する
- 復興イベントへ参加する
- 被害のなかった観光地にも足を運ぶ
- 正確な現地情報を周囲へ伝える
被災地を訪れるときのマナー
- 立入禁止区域へ入らない
- 倒壊家屋や避難所を無断撮影しない
- 被災者へ体験談を無理に聞かない
- 復旧作業の妨げになる場所へ駐車しない
- 道路や店舗の営業状況を事前に確認する
- 「被災地を見に行く」ことを目的にしない
- 地域の案内とルールに従う
被災した建物や住民を見物する
「災害観光」にならないよう注意しましょう。
行動パターン4|旅行をボランティアへ変更する
防災すぐるパパ
旅行をやめるなら、
そのまま現地へ行って片付けを手伝おうか?
ラボる君
気持ちは大切だけれど、
募集を確認せずに行ってはいけないよ。現地では、まだ一般ボランティアを
受け入れられないこともあるんだ。
災害ボランティアセンターは、
発災直後から必ず一般募集を始めるわけではありません。
被害状況や住民のニーズを調べている段階では、
募集を行っていないことがあります。
また、募集対象を
市内、県内、近隣地域の居住者に限定する場合もあります。
全社協の被災地支援・災害ボランティア情報でも、
募集状況は日々変わるため、
各センターの最新情報を確認するよう案内しています。
ボランティアへ参加できる条件
次の項目をすべて確認してから申し込みます。
- 災害ボランティアセンターが募集している
- 自分の居住地域が募集対象に含まれている
- 事前登録を済ませている
- 指定された活動日と時間を守れる
- ボランティア活動保険へ加入している
- 宿泊場所を自分で確保できる
- 食料、飲料水、装備を自分で準備できる
- 現地まで指定された方法で移動できる
- 健康状態に問題がない
- 現地スタッフの指示に従える
政府広報も、
災害ボランティアに参加する前の準備や
参加方法を確認するよう案内しています。
旅行用の服装では活動できない
災害現場では、
釘、ガラス、泥、粉じん、感染症、熱中症などの危険があります。
活動内容に応じ、募集元が指定する装備を準備します。
- 安全靴または踏み抜き防止対策
- 長袖、長ズボン
- 厚手の作業用手袋
- ヘルメット
- 防じんマスク
- ゴーグル
- 雨具
- 飲料水
- 昼食
- 着替え
- タオル
- 常用薬
- 健康保険に関する情報
装備がないから現地で購入する、
食料や宿を被災地で探すという参加方法は、
現地の物資や人手を圧迫する可能性があります。
勝手な作業はしない
善意であっても、次の行動は避けます。
- 倒壊家屋へ無断で入る
- 所有者の許可なく家財を捨てる
- 危険な屋根や建物で作業する
- 重機を無資格で操作する
- 個人情報や被災状況をSNSへ投稿する
- 被災者へ必要以上に質問する
- 依頼されていない物資を大量に持ち込む
作業は
必ず災害ボランティアセンターや
受入団体の指示に従いましょう。
行動パターン5|現地へ行かずに支援する
仕事、年齢、体力、家族の事情によって、
現地ボランティアへ参加できない人もいます。
現地へ行くことだけが支援ではありません。
自宅からできる支援
- 公的機関や信頼できる団体へ寄付する
- 義援金を送る
- 被災地域の特産品を購入する
- 復興後の旅行資金を積み立てる
- 地域のアンテナショップを利用する
- ふるさと納税などの公式制度を確認する
- 正確な情報を共有する
- 地元で行われる物資整理や募金活動へ参加する
寄付をするときは、
団体名、振込先、公式サイトを確認します。
自治体職員を名乗る突然の電話や、
不審なメール・SNSからの募金依頼には注意してください。
支援物資は送る前に確認する
被災地へ個人から物資を送ると、
仕分けや保管に人手が必要になります。
衣類や食品を自己判断で送らず、
自治体や支援団体が募集している品目、
受付期間、送付方法を確認しましょう。
募集がない場合は、
義援金や支援金の方が役立つことがあります。
どの行動を選ぶ?判断早見表
| 現地の状態 | おすすめの行動 |
|---|---|
| 救助・捜索活動中 | 旅行を中止し、現地へ行かない |
| 道路・ライフラインが不安定 | 延期して公式情報を確認する |
| 一般ボランティア未募集 | 勝手に行かず、寄付などで支援する |
| 募集対象・装備条件を満たす | 事前登録してボランティアへ参加 |
| 観光受入れ再開を発信 | 復興旅行を検討する |
| 被害のない周辺地域が通常営業 | 自治体・施設情報を確認して訪問を判断 |
| 判断材料が不足している | 予約変更を相談し、結論を急がない |
チケット購入後に地震が起きたときの手順
1.安全情報を確認する
気象庁、被災自治体、交通事業者、道路管理者の情報を確認します。
2.旅行先へ行かない前提で一度考える
「キャンセルできなければ行く」ではなく、
まず安全上行ける状態なのかを判断します。
3.予約を一覧にする
- 飛行機
- 鉄道
- レンタカー
- ホテル
- 旅行会社
- 観光施設
- 旅行保険
予約番号、連絡先、取消期限を整理します。
4.変更・取消しを申し出る
無料取消しだけでなく、
日程変更、振替、クーポン対応なども確認します。
5.証拠を残す
運休情報、休業情報、メール、チャットの履歴、取消画面を保存します。
6.次の支援方法を選ぶ
- 落ち着くまで待つ
- 復興後に再予約する
- 公式のボランティアへ申し込む
- 寄付や特産品購入で支援する
旅行を再開するときの防災準備
被災地域が旅行者を受け入れ始めても、
道路や店舗が完全に元どおりとは限りません。
次のものを準備しましょう。
- 飲料水と行動食
- モバイルバッテリー
- 小型ラジオ
- 懐中電灯
- 常用薬
- 現金と小銭
- 運動靴
- ヘルメットまたは防災頭巾
- 携帯トイレ
- マスク
- ハザードマップ
- 宿泊先と避難場所の情報
現地で余震が起きた場合に備え、
宿泊施設の非常口と避難場所を確認します。
海岸部では津波避難場所、
山間部では土砂災害の危険区域も確認してください。
ラボる君のまとめ
ラボる君
被災地への旅行は、
ただ諦めればよいわけではないよ。発災直後は中止・延期して、
救助や復旧の邪魔をしない。ボランティアへ参加したい場合は、
公式募集を待って、
事前登録や保険、装備を整えてから参加しよう。そして地域が観光客を受け入れられるようになったら、
宿泊や食事、買い物を通して応援できるんだ。大切なのは、自分がしたい行動ではなく、
今、現地が必要としている行動を選ぶことだね。
旅行を延期することは、
被災地への関心を失うことではありません。
今は行かない。募集が始まったら正しく手伝う。
安全が戻ったら旅行で訪れる。
被災地の状況に合わせて支援の形を変えることが、
長く地域を応援することにつながります。

