【防災格言⑧】逃げたら戻らない|津波避難で「一度家に戻る」が危険な理由

防災格言⑧「逃げたら戻らない」津波避難で一度避難した後に家へ戻る危険性を伝えるアイキャッチ画像 防災格言・災害の教訓
防災格言⑧「逃げたら戻らない」。津波は繰り返し襲い、最初の波が最大とは限りません。安全が確認されるまで危険な場所へ戻らないことが大切です。

最近では、熊本地震で「イオン」の店員さんが
避難した後に、店内に引き返して被害に遭われたことが
記憶に新しいです。


「財布を忘れた」

「スマホを取りに戻りたい」

「家族が心配だから見に行きたい」

「津波はもう来たから大丈夫だろう」

津波から高台へ避難できたあと、
このように考えてしまうことがあるかもしれません。

しかし、津波避難で覚えておきたい重要な教訓があります。

「逃げたら戻らない」

津波は一度だけ来るとは限りません。

しかも、

最初の波が最大とは限りません。

気象庁は、津波は繰り返し襲い、後から来る津波の方が高くなることもあると説明しています。

「一度津波が来たから、もう大丈夫」

と自己判断して戻るのではなく、安全が確認されるまで避難を続ける。

今回は、そんな「避難した後」の防災について考えます。


防災格言

「逃げたら戻らない」

内閣府の「防災情報のページ」には、
1993年の北海道南西沖地震の教訓として、

「機敏な避難と『逃げたら戻らない』のが鉄則」

という教訓情報が掲載されています。

この言葉が伝えているのは、とてもシンプルです。

津波の危険を感じたら、まず逃げる。

そして、

安全が確認されるまでは危険な場所へ戻らない。

避難は「高台に着いたら終わり」ではありません。

安全が確認されるまで避難を続けるところまでが津波避難です。


なぜ「戻る」ことが危険なのか?

津波というと、

「大きな波が一回来て終わる」

というイメージを持っている人もいるかもしれません。

しかし、実際は違います。

気象庁は、

津波は繰り返し襲ってくる

と説明しています。

さらに、

後から来る津波の方が高くなることもあります。

つまり、

第一波が来た。

水が引いた。

海が静かになった。

だから帰ろう。

とは判断できません。

「今、波が見えない」=「津波が終わった」ではない

ということです。


第一波が最大とは限らない

ここはぜひ覚えておきたいポイントです。

津波情報では「第一波」という言葉を聞くことがあります。

すると、

「第一波が一番大きいのでは?」

と思ってしまうかもしれません。

しかし、第一波とは基本的に最初に観測された波を示すもので、
「最大の波」という意味ではありません。

気象庁も、津波は繰り返し襲い、あとから来る波の方が高くなることがあるため、観測された津波が小さいからといって避難をやめるのは危険だとしています。

だからこそ、

「第一波が小さかったから大丈夫」

という自己判断は避けなければなりません。


北海道南西沖地震が残した「逃げたら戻らない」という教訓

1993年7月12日に発生した北海道南西沖地震では、
奥尻島などが大きな津波被害を受けました。

内閣府が公開している教訓資料では、
震源に近い奥尻島の青苗地区には
地震後わずか数分で津波が押し寄せたとされ、
着替えや物探し、車の鍵探しなどに時間を使って
避難が遅れたとみられる事例も紹介されています。

津波避難では、

「財布を持っていこう」

「服を着替えよう」

「車の鍵はどこだ?」

という数分が重大になることがあります。

だからこそ、

物より先に命を安全な場所へ移す。

これが基本です。


東日本大震災でも「避難後に戻る」危険が示された

この教訓は北海道南西沖地震だけのものではありません。

内閣府の東日本大震災に関する防災白書では、
津波警報などに従って高台等へ避難して助かった人が多くいた一方、
地震後すぐに避難しなかったことや、
避難後に再び戻ったことなどによって犠牲になった人も多かった
と整理されています。

つまり、

「避難できたか」

だけではなく、

「避難したあと、危険な場所へ戻らなかったか」

も重要なのです。


「家族が心配だから戻る」を防ぐ

特に注意したいのが、

家族を探しに戻ること

です。

学校にいる子どもが心配。

職場にいる夫や妻が心配。

離れて暮らす親が心配。

その気持ちは自然です。

しかし、津波の危険がある地域へ家族を探しに戻れば、
探しに行った本人まで危険にさらされます。

内閣府も、
家族の安否確認のために津波の危険性がある地域へ戻ったり、
その場にとどまったりすることを避けるため、
家族の安否確認方法
や
避難後の集合場所など
をあらかじめ決めておくことを呼びかけています。

つまり、

災害が起きてから「どこにいる?」と探すのではなく、

災害が起きる前に
「こうなったらここへ逃げる」と決めておく。

これが重要です。


津波警報が出ている間は戻らない

では、

「いつなら戻っていいの?」

という疑問が出てきます。

気象庁は明確に、

津波警報・注意報が解除されるまで避難を続ける

よう呼びかけています。

特に津波警報が出ている間については、絶対に戻ってはいけないとしています。

ただし、ここでもう一つ注意があります。

「津波警報が解除された=必ずすぐ帰宅してよい」

とも限りません。

気象庁の防災資料では、
津波警報が解除されても
自治体の避難指示が解除されていない場合があるため、
自治体からの情報も確認するよう案内されています。

したがって、

気象庁の津波情報

だけでなく、

自治体の避難情報

も確認しましょう。


「忘れ物を取りに戻る」をなくす備え

津波から避難したあとに戻りたくなる理由の一つが、

忘れ物

です。

例えば、

スマートフォン。

財布。

薬。

メガネ。

モバイルバッテリー。

防寒着。

非常持ち出し袋。

こうした物がバラバラの場所に置いてあると、

「ちょっと取りに戻ろう」

という行動につながる可能性があります。

そこで平常時から、

非常持ち出し品をすぐ持ち出せる場所へまとめておく

ことが重要です。

ただし、地震発生時にそれらを集めるために避難が遅れては本末転倒です。

津波の危険が切迫している場合は、

持ち物より避難を優先

します。


「避難場所」と「避難所」は同じではない

もう一つ、この記事で覚えておきたいのが、

指定緊急避難場所

と

指定避難所

の違いです。

内閣府によると、指定緊急避難場所は津波や洪水など、
切迫した災害の危険から命を守るため緊急的に避難する場所です。

一方、指定避難所は、避難した人が一定期間滞在するための施設です。

しかも指定緊急避難場所は、災害の種類ごとに指定されています。

つまり、

「近所の避難所だから津波でも安全だろう」

とは限りません。

平常時に、

津波のとき、自分はどこへ逃げるのか

を確認しておくことが重要です。


「逃げたら戻らない」を実践する7つの備え

今日から確認しておきたいのは次の7つです。

  1. 津波ハザードマップを確認する
  2. 津波用の指定緊急避難場所を確認する
  3. 自宅・職場・学校からの避難経路を確認する
  4. 家族それぞれが自分で避難するルールを決める
  5. 災害時の安否確認方法を決める
  6. 避難後の集合場所を決める
  7. 警報・避難情報を確認できる手段を用意する

特に大切なのは、

「家族を迎えに行かなくてもいい仕組み」を平常時につくること。

「地震が起きたら、お父さんが迎えに行く」

だけではなく、

「それぞれがまず安全な場所へ避難する」

「安全が確保できてから安否確認する」

というルールを家族で話し合っておきましょう。


「津波てんでんこ」と「逃げたら戻らない」はつながっている

防災ラボるの【防災格言①】では、

「津波てんでんこ」

を紹介しました。

これは津波の際に、
それぞれが主体的に避難することの重要性を伝える言葉として知られています。

今回の、

「逃げたら戻らない」

は、その次の行動と考えることができます。

津波てんでんこ
↓
まず自分が避難する
↓
安全な場所まで逃げる
↓
家族を探して戻らない
↓
安全が確認されるまで避難を続ける

この一連の行動を、家族全員が知っておく。

それによって、

「お母さんが自分を探しに来るかもしれない」

「子どもを迎えに行かなきゃ」

という危険な再避難を減らすことにつながります。


防災ラボるの「知備即行」

防災ラボるが大切にしているのは、

知備即行(ちびそっこう)

です。

知る。
備える。
すぐ行動する。

津波が繰り返し来ることを知る。

家族の安否確認方法を備える。

強い揺れや津波警報等をきっかけに避難する。

そして今回、もう一つ加えたいのが、

「避難したら、安全が確認されるまで戻らない」

です。

逃げる判断ができても、

途中で危険な場所へ戻ってしまえば、
自分を再び危険にさらすことになります。

避難は、

逃げ始めること

だけではありません。

安全な場所にとどまること

まで含めて考えましょう。


今日の「1日1防災」

今日は家族で一つだけ決めてください。

「津波から別々に避難したとき、どうやって安否確認する?」

電話だけではなく、

災害用伝言サービス。

メッセージ。

集合場所。

親戚などの連絡先。

家族に合った方法を考えてみましょう。

そして家族全員で、

「津波から逃げたら、迎えに戻らない」

というルールを共有しておきます。

家族を大切に思うからこそ、

お互いが自分で避難する。

それも大切な防災です。


まとめ|避難は「逃げたら終わり」ではない

今回の防災格言は、

「逃げたら戻らない」

です。

覚えておきたいポイントは、

■津波は繰り返し来る。

■第一波が最大とは限らない。

■避難後に危険な場所へ戻らない。

■家族を探すために津波危険地域へ戻らない。

■津波警報・注意報が解除されるまで避難を続ける。

■解除後も自治体の避難情報を確認する。

ということです。

✕ 津波が見えなくなったから。

✕ 周囲の人が帰り始めたから。

✕ 忘れ物があるから。

✕ 家族が心配だから。

それだけで危険な場所へ戻らない。

逃げたら、安全が確認されるまで戻らない。

この短い言葉を、家族の防災ルールの一つにしてみてください。

知るだけで終わらせない。

備えるだけで終わらせない。

必要なときには行動する。

それが「防災ラボる」の、

知備即行

です。

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