【防災格言⑦】空振りは許されるが、見逃しは許されない|「何も起きなかった避難」が無駄ではない理由

防災格言⑦「空振りは許されるが、見逃しは許されない」早めの避難の大切さを伝えるアイキャッチ画像 防災ステップ1ー知る
防災格言⑦「空振りは許されるが、見逃しは許されない」。何も起きなかった避難も、命を守るための大切な行動です。

「避難したけど、結局何も起きなかった」

そんな経験をすると、

「わざわざ避難しなくてもよかった」

「次は様子を見てからでいいか」

と思ってしまうかもしれません。

しかし、防災では結果だけを見て避難行動を評価するのは危険です。

今回の防災格言は、

「空振りは許されるが、見逃しは許されない」

です。

何も起きなかった避難は、失敗ではありません。

むしろ、

「危険になる前に行動できた」

という経験として、次の災害に生かすことができます。


防災格言

「空振りは許されるが、見逃しは許されない」

気象庁の防災講演資料では、「プロアクティブの原則」として、

疑わしいときは行動すること、
最悪の事態を想定して行動すること、
空振りを恐れず積極的に行動すること

が示されています。

ここでいう「空振り」とは、

避難した。

警戒した。

予定を変更した。

しかし結果的には、大きな被害が発生しなかった。

というケースです。

防災では、この「何も起きなかった」という結果だけを見て、

「避難する必要はなかった」

と考えないことが重要です。


この格言の意味

例えば、大雨が降っているとします。

自治体から避難情報が出た。

川の水位も上がっている。

そこで早めに避難した。

しかし、その後雨が弱まり、
自宅周辺では大きな被害が起こらなかった。

こんなとき、

「避難して損した」

と思う人もいるでしょう。

でも、その判断をした時点では、

その後どうなるかは分かりません。

災害は、結果を知ってから行動できるものではないからです。

「何も起きないことを確認してから避難する」

では遅くなる場合があります。

だから、

危険が切迫する前に動く。

そして何も起きなければ、

「今回は何もなくてよかった」

と考える。

これが「空振りを恐れない」防災です。


なぜ人は避難をためらうのか?

災害時には、

「このくらいなら大丈夫だろう」

「前回も何もなかった」

「近所の人も避難していない」

「もう少し様子を見よう」

と考えてしまうことがあります。

こうした判断に関係するものの一つが、

正常性バイアス

です。

内閣府は正常性バイアスについて、
異常事態が起きていても
「自分は大丈夫」などと無意識に事態を
過小評価してしまうおそれがあると説明しています。

つまり、

「危険かもしれない」

という情報があっても、

「たぶん大丈夫」

という方向へ考えてしまうことがあります。


「前回大丈夫だった」は今回の安全を保証しない

これは特に注意したいポイントです。

以前、

避難指示が出た。

でも自宅は無事だった。

すると次に同じような状況になったとき、

「前も大丈夫だったから、今回も大丈夫だろう」

と考えやすくなります。

しかし、

雨量。

川の水位。

土壌の状態。

台風の進路。

地震の規模。

津波の高さ。

災害が起きる条件は毎回同じではありません。

前回被害がなかったことは、

今回も安全であることの証明にはなりません。

内閣府も、過去の被災経験などを基準に危険性を判断したり、「自分は災害に遭わない」と思い込んだりすることで避難のタイミングを逃さないよう、普及啓発を進めています。


「避難=避難所へ行く」だけではない

ここも覚えておきたいポイントです。

「避難してください」

と聞くと、

体育館や公民館などの避難所へ行くこと

だけを想像しがちです。

しかし、防災における避難とは、

「難」を「避」け、安全を確保すること。

安全な場所にいる人まで、
必ず指定避難所へ移動しなければならないという意味ではありません。

災害の種類や自宅の場所などによっては、

安全な親戚・知人宅。

安全なホテルなど。

指定緊急避難場所。

条件を満たす場合の屋内安全確保。

など、状況に応じた選択肢があります。

内閣府も、水害・土砂災害では警戒レベル4「避難指示」が出た場合、
危険な場所にいる人は避難する必要があるとしています。

また、洪水や高潮では、ハザードマップなどで
安全を確認できる場合に
屋内安全確保という選択肢も示されています。

つまり、

「避難所へ行くか、家にいるか」

の二択ではありません。


警戒レベル5まで待たない

大雨災害では、

「もっと危なくなってから避難しよう」

と考えるのも危険です。

警戒レベル4の避難指示では、

危険な場所から全員避難

が基本です。

一方、警戒レベル5は、すでに災害が発生または切迫している段階です。

つまり、

「警戒レベル5が出たら避難しよう」

ではありません。

災害が起きてから逃げるのではなく、

災害が起きる前に安全を確保する。

そのために避難情報があります。


「何も起きなかった」は良い結果

例えば家族で早めに避難したとします。

結果的に、

川は氾濫しなかった。

土砂災害も起きなかった。

自宅にも被害はなかった。

そのとき、

「避難して損した」

ではなく、

「何も起きなくてよかった」

と考えてみましょう。

そして、せっかく避難したなら、

「避難所まで何分かかった?」

「この道は夜だと暗いね」

「非常持ち出し袋が重すぎた」

「スマホの充電が足りなかった」

「雨具を玄関に置いておいたほうがいいね」

と振り返ります。

すると「空振りだった避難」が、

実際の避難訓練

になります。

次の災害への備えが、一段具体的になります。


防災ラボるが考える「空振り防災」

ただし、この格言を、

「少しでも不安なら、どんな状況でも外へ飛び出せ」

という意味にはしません。

災害によって安全な行動は異なります。

例えば地震で激しく揺れている最中に、
慌てて屋外へ飛び出せば、
落下物など別の危険に遭う可能性があります。

大雨でも、すでに道路が冠水しているなど、
外へ移動すること自体が危険になっている場合があります。

大切なのは、

「早めに、自分の地域の災害リスクに合った安全行動を選ぶ」

ことです。

そのためには、災害が迫ってから考えるのではなく、

平常時にハザードマップや避難場所、避難経路を確認しておくこと

が重要です。


今日からできる「空振りを恐れない」7つの備え

  1. 自宅のハザードマップを確認する
  2. 自宅で想定される災害を確認する
  3. 避難する場所を決めておく
  4. 実際に避難経路を歩いてみる
  5. 「いつ避難するか」を家族で決める
  6. 非常持ち出し袋をすぐ持てる場所に置く
  7. 避難して何も起きなくても「失敗」と考えない

政府も、地域の災害リスクや正常性バイアスを学び、
実践的な避難訓練によって
主体的な避難行動を身につけることを重視しています。


防災ラボるの「知備即行」

防災ラボるが大切にしているのは、

知備即行(ちびそっこう)

です。

知る。
備える。
そして、必要なときに行動する。

知識だけ持っていても、
災害時に動けなければ命を守れないことがあります。

だから、

「まだ大丈夫」ではなく「今なら安全に動ける」

という視点を持つ。

避難して何も起きなければ、

それでいい。

何も起きなかったことを喜び、次の備えにつなげます。


今日の「1日1防災」

今日やってほしいことは一つだけ。

「自分は、何が起きたら避難するか?」を決めてください。

大雨なら?

台風なら?

津波なら?

「そのとき考える」ではなく、平常時に家族で確認しておきます。

そして避難が空振りになったら、

「何もなくてよかったね」

と言える家族になりましょう。


まとめ|空振りを恐れるより、見逃しを恐れる

防災では、

100%災害が起きると分かってから行動することはできません。

だからこそ、

危険を知る。

早めに判断する。

安全なうちに行動する。

何も起きなければ、それでよかったと考える。

今回の防災格言は、

「空振りは許されるが、見逃しは許されない」

です。

防災で大切なのは、

「避難したのに災害が起きなかった」ことを後悔することではありません。

次も安全に行動できるよう、

空振りを「経験」に変えること。

知るだけで終わらせない。

備えるだけで終わらせない。

必要なときには、行動する。

それが「防災ラボる」の、

知備即行

です。

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