地震や台風で水道が止まると、
飲み水だけでなく、
料理、服薬、歯磨き、手洗い、トイレにも困ります。
災害用の水には、
普段飲んでいるペットボトル水、長期保存水、
ウォーターサーバー、水道水のくみ置きなどがあります。
価格だけで選ぶと、
交換を忘れたり、買い物が負担になったりするかもしれません。
反対に、すべてを長期保存水にすると、
購入費用が高くなります。
今回は、らぼる君が防災すぐるパパとまどかママに、
家庭に合った水の備え方を説明します。
災害用の水は1人何リットル必要?
防災すぐるパパ
とりあえず、2リットルの水を1箱買っておけば大丈夫かな?
ラボる君
家族の人数によっては足りないよ。
飲み水と調理用水を合わせて、1人1日3リットルが目安なんだ。
内閣府は、飲料水を1人1日3リットル、最低3日分、
できれば1週間分備えるよう案内しています。
人数別の備蓄量
| 家族人数 | 3日分 | 7日分 | 2Lボトル換算・7日分 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 9L | 21L | 約11本 |
| 2人 | 18L | 42L | 21本 |
| 3人 | 27L | 63L | 約32本 |
| 4人 | 36L | 84L | 42本 |
| 5人 | 45L | 105L | 約53本 |
4人家族が1週間分を備えると84リットル、
重さは容器を除いても約84kgです。
一度に買って運ぶのは大変なので、
毎回の買い物で少しずつ増やす方法が現実的です。
なお、この量は基本的に飲料水と調理用水です。
トイレ、洗濯、掃除などに使う生活用水は別に考えます。
災害用に備えられる水を比較
水の価格や賞味期限は商品によって異なります。
次の表は、一般的な特徴を比べたものです。
購入時には必ず商品の表示を確認してください。
| 水の種類 | コスパ | 保存期間の目安 | 買い物の手間 | 災害時の使いやすさ |
|---|---|---|---|---|
| 普段用ペットボトル水 | 良い | 約1~2年の商品が多い | 定期的な購入が必要 | 飲用・調理に使いやすい |
| 長期保存水 | やや高い | 約5~10年 | 買い替え回数が少ない | 未開封なら長く残せる |
| 500mLボトル | 単価は高め | 商品表示による | 本数が多くなる | 持出し・衛生管理に便利 |
| ウォーターサーバー | 契約による | ボトルごとに異なる | 配送なら運搬が楽 | 日常利用しやすい |
| 水道水のくみ置き | 非常に安い | 常温約3日・冷蔵約10日 | 定期交換が必要 | 短期の補助備蓄向き |
| 浄水器・携帯浄水器 | 本体・交換費用が必要 | 水そのものの備蓄ではない | フィルター管理が必要 | 原水が確保できる場合の補助手段 |
普段用ペットボトル水のメリット・デメリット
メリット
- 長期保存水より比較的安い
- スーパーや通販で入手しやすい
- 普段から飲用や料理に使える
- 味を確認した水を備えられる
- ローリングストックを行いやすい
デメリット
- 定期的に飲んで買い足す必要がある
- 箱買いすると重く、持ち帰りが大変
- 消費しない家庭では期限切れになりやすい
- 店舗の売り切れや買い忘れが起こる
- 保管場所を必要とする
普段から水を飲む家庭には、
通常のペットボトル水が
最もローリングストックに向いています。
ただし、飲む量が少ない家庭は入れ替えが進まず、
棚の奥で期限切れになる可能性があります。
長期保存水のメリット・デメリット
長期保存水は、容器や製造方法を工夫し、
一般的なペットボトル水より長期間保存できるようにした商品です。
メリット
- 5年、7年、10年など長期間保存できる商品がある
- 買い替え回数が少ない
- 賞味期限を頻繁に確認しなくてよい
- 水をあまり飲まない家庭でも管理しやすい
- 押し入れや防災倉庫の固定備蓄に向いている
デメリット
- 一般的な水より価格が高い
- 一度に家族分を買うと負担が大きい
- 普段飲まないと、期限間近に大量消費することになる
- 保管場所を忘れる可能性がある
- 箱の劣化や湿気にも注意が必要
農林水産省は、長期保存型の水について、
賞味期限が5~10年と長く、
一般的なミネラルウォーターより長持ちすると紹介しています。
長期保存水は、毎日使う水というより、
使わずに残しておく最後の備えとして役立ちます。
2Lと500mLはどちらがいい?
2Lボトルが向いている場面
- 在宅避難
- 家族の食事や調理
- 大人数の備蓄
- 費用を抑えたい場合
- 収納スペースに余裕がある家庭
2Lボトルは、
500mLボトルより容量当たりの価格を抑えやすく、
ごみも少なくできます。
一方、開封後は早めに使う必要があります。
断水中は手やコップを十分に洗えない可能性があるため、
容器へ直接口をつけないようにしましょう。
500mLボトルが向いている場面
- 防災リュックへの収納
- 徒歩での避難
- 家族への個別配布
- 乳幼児や高齢者の水分補給
- 衛生状態を保ちにくい避難所
小分けボトルは単価やごみの量が増えますが、
一度に飲み切りやすい点がメリットです。
おすすめの組み合わせ
在宅用は2Lボトルを中心にして、
全体の一部を500mLボトルにすると便利です。
例えば4人家族なら、
すべてを同じ容量にせず、次のように分けられます。
- 2Lボトル:在宅避難と調理用
- 500mLボトル:持出し、服薬、個人用
- 長期保存水:交換忘れに備える固定備蓄
ウォーターサーバーは災害用備蓄になる?
ウォーターサーバーを日常的に使っている家庭では、
予備ボトルが災害用の水になります。
メリット
- 定期配送なら重い水を運ばなくてよい
- 日常的に使うため自然に入れ替わる
- 使用量を把握しやすい
- 備蓄を生活の一部にできる
デメリット
- レンタル料や配送条件がある
- 電気がないと出水・加熱・冷却できない機種がある
- 停電時に水を取り出せない機種もある
- 解約条件や最低注文数が設定される場合がある
- ボトルの保管スペースが必要
災害用に考える場合は、契約前に次を確認しましょう。
- 停電しても常温水を出せるか
- ボトル単体で給水できるか
- 賞味期限はどれくらいか
- 配送停止時に何本残るか
- 空ボトルの処理方法
- 転倒防止対策ができるか
ウォーターサーバーだけに頼らず、
持ち運べるペットボトル水も残しておくと安心です。
水道水のくみ置きは使える?
まどかママ
水道水なら安いけれど、どのくらい保存できるの?
らぼる君
清潔なふた付き容器に、蛇口から直接入れて保存するんだ。
東京都水道局では常温で3日、冷蔵庫で10日を目安にしているよ。
東京都水道局は、くみ置き水について次の方法を案内しています。
- 清潔でふたのできる容器を使う
- 蛇口から直接入れる
- 容器の口元まで満たしてふたをする
- 直射日光を避ける
- 常温では3日、冷蔵庫では10日を目安にする
浄水器を通した水は、残留塩素が減っていることがあります。
保存条件が異なる可能性があるため、
浄水器メーカーの説明を確認してください。
くみ置き水道水のメリット
- 費用が非常に安い
- 普段の水道から準備できる
- 飲料水の備蓄量を補える
- 交換後の水を掃除や洗濯に使える
デメリット
- 短期間で交換する必要がある
- 交換日を忘れやすい
- 大きな容器は持ち運びにくい
- 容器の洗浄と衛生管理が必要
- 断水後は新しく作れない
くみ置き水は、長期保存水の代わりではなく、
日常的に交換する補助備蓄として考えましょう。
浄水器があれば水を備蓄しなくてもよい?
浄水器は、断水して原水がない状態では使えません。
携帯浄水器も、製品によって除去できる物質が異なります。
海水、農薬や燃料などで汚染された水、生活排水が混ざった水を、
安全な飲料水にできるとは限りません。
そのため、基本の順番は次のようになります。
- 安全な未開封の備蓄水
- 自治体や給水所から受け取った水
- 安全性を確認できる水道水
- 浄水器などの補助手段
浄水器は備蓄水をゼロにする道具ではなく、
利用できる水を増やすための補助手段です。
コスパは水の値段だけでは決まらない
防災用の水を比較するときは、
購入価格だけでなく、次の費用や負担も含めて考えます。
買い物と運搬の負担
2Lボトル6本入りの箱は、水だけで約12kgあります。
車を使えない人、
高齢者、集合住宅の上層階に住む人には、
大きな負担です。
通販や定期配送は商品価格が少し高くても、
運搬の負担を軽くできます。
交換にかかる手間
安い水でも、
賞味期限を確認せず廃棄すればコスパは悪くなります。
反対に、長期保存水は価格が高くても、
交換回数や買い物の手間を減らせます。
保管スペース
押し入れの奥に全量を入れると、
取り出しにくくなります。
玄関、キッチン、寝室、物置などへ分散すると、
家の一部が壊れても水を確保できる可能性が高まります。
ただし、
直射日光、高温、凍結、強い臭いのある物の近くは避け、
商品表示に従って保管してください。
おすすめは「二層式ローリングストック」
防災すぐるパパ
結局、どの水を買うのが一番いいのかな?
ラボる君
ひとつに決めなくていいんだよ。普段飲む水を回しながら、
一部を長期保存水として残す方法がおすすめだよ。
最も続けやすいのは、次の2種類を組み合わせる方法です。
第1層:普段使いする水
- いつも飲んでいるペットボトル水
- ウォーターサーバーの予備ボトル
- 小分けの500mLボトル
古いものから飲み、使った分を買い足します。
第2層:手を付けずに残す水
- 5~10年保存できる長期保存水
- 家族全員の最低3日分を目標にする
- 収納場所と期限を家族で共有する
普段用の水が買えなかった、
交換を忘れた、
備蓄を多く消費したという場合でも、
長期保存水が最後の安全網になります。
失敗しにくいローリングストックの方法
1.最初から1週間分を買わない
一度に大量購入すると、費用も運搬も収納も大変です。
まず3日分を準備し、
その後、買い物のたびに1~2本ずつ追加して1週間分を目指しましょう。
2.新しい水は奥へ入れる
棚から古い水を取り出し、新しく買った水を奥に入れます。
箱のまま積み重ねる場合は、
賞味期限を箱の正面と上面へ大きく書くと確認しやすくなります。
3.「最後の1箱」に手を付けない
すべてを普段使いにすると、
買い足す前に備蓄がなくなる可能性があります。
家庭ごとに最低在庫を決めましょう。
例:
- 1人暮らし:最低1箱
- 2人家族:最低2箱
- 4人家族:最低3~4箱
これは管理上の一例です。
最終的には1人1日3Lで必要量を計算してください。
4.交換月を決める
賞味期限を1本ずつ確認するのは大変です。
- 防災の日
- 家族の誕生月
- 3月と9月
- 年末の大掃除
このような覚えやすい時期に点検します。
スマートフォンのカレンダーへ通知を登録しておくのも有効です。
5.期限が近い水は料理で使う
飲み切れない場合は、次の用途で無理なく消費できます。
- 炊飯
- みそ汁やスープ
- 麦茶やコーヒー
- 麺をゆでる
- 鍋料理
- ペットの飲み水
賞味期限は
「その日を過ぎた瞬間に危険になる」
という意味ではありませんが、
災害備蓄として確実に使うため、
期限前に交換しましょう。
容器の変形、漏れ、濁り、異臭があるものは飲用しません。
家族構成別のおすすめ
| 家庭の状況 | 向いている備え方 |
|---|---|
| 1人暮らし | 2L中心+持出し用500mL+長期保存水 |
| 水を毎日飲む家庭 | 普段用ペットボトル中心のローリングストック |
| 水をあまり買わない家庭 | 長期保存水を多めにする |
| 高齢者だけの家庭 | 通販・定期配送+小さめボトル |
| 乳幼児のいる家庭 | 調乳方法を確認し、安全な未開封水を多めに確保 |
| 車を持たない家庭 | 宅配利用+複数回に分けて購入 |
| ウォーターサーバー利用家庭 | 予備ボトル+停電時に使えるペットボトル |
| ペットのいる家庭 | 人の分とは別に、ペット用の水も計算 |
乳児の調乳に使う水は、
粉ミルクメーカーや行政の案内を確認してください。
持病や水分制限がある人は、
必要量について医師へ相談しておきましょう。
災害発生後の水の使い方
断水が始まったら、備蓄水を無計画に開けないことも大切です。
水を用途別に分ける
- 未開封の水:飲用、服薬、調乳
- 開封後の水:早めに飲用・調理
- 給水所の水:指示に従って利用
- 交換したくみ置き水:掃除や洗濯
- 風呂の残り湯:トイレなどの生活用水
風呂の水は飲まないでください。
また、集合住宅では排水管が壊れている可能性があるため、
管理者の確認前にトイレへ大量の水を流すと、
下の階で汚水漏れが起こることがあります。
給水用容器も準備する
給水所が開設されても、容器がなければ水を持ち帰れません。
- 折りたたみ式給水袋
- ふた付きポリタンク
- キャリーカート
- リュック型給水袋
10Lの水は約10kg、20Lなら約20kgです。
無理に大きな容器を選ばず、
家族が実際に運べる容量に分けましょう。
らぼる君の結論
らぼる君
水の備蓄は、値段だけで決めないことが大切だよ。普段飲む水は安くてローリングストックしやすいけれど、
買い足しと期限管理が必要。長期保存水は高めだけれど、交換の手間を減らせる。
くみ置き水道水は安いけれど、
短期間での入れ替えが必要なんだ。だから、普段用の水を回しながら、
一部を長期保存水として残す方法が、
コストと安心のバランスを取りやすいと思うよ。
水は、災害が起きてから買いに行こうとしても
手に入らない可能性があります。
まずは家族の3日分を計算し、
少しずつ1週間分へ増やしましょう。
「飲む・買い足す・新しいものを奥へ入れる」を続ければ、
大きな負担を感じずに備蓄を維持できます。

