「大雨が降ると、どうして山や崖が突然崩れるの?」
まどかママの疑問をきっかけに、
ラボる君が「土砂崩れ・土石流」について調べました。
近年は日本だけでなく、
ネパールをはじめ世界各地で豪雨による土砂災害が発生しています。
土砂災害を完全に止めることは難しくても、
危険を早く知り、雨が激しくなる前に避難すれば、
命を守れる可能性は高くなります。
土砂崩れと土石流の違い
似ている言葉ですが、発生する場所や動き方が異なります。
| 種類 | どのような災害? | 危険な場所 |
|---|---|---|
| 土砂崩れ・がけ崩れ | 雨で弱くなった斜面が突然崩れる | 崖や急斜面の近く |
| 土石流 | 山の土砂や岩が水と一緒に谷を流れ下る | 谷、沢、川の出口 |
| 地すべり | 広い範囲の地面がゆっくり、または一気に動く | 傾斜の緩い斜面でも起こる |
土石流は非常に速く、発生してから走って逃げるのは困難です。
「土砂が見えてから逃げればいい、では遅いんだね」
防災すぐるパパの言葉に、らぼる君がうなずきます。
なぜ大雨で山が崩れるの?
山や崖の土には、もともと小さな隙間があります。
長時間雨が降ると、その隙間に水がたまり、
土を支える力が弱くなります。
特に線状降水帯が発生すると、
同じ地域に強い雨が何時間も降り続きます。
表面の雨が弱まっても、
地中には大量の水が残っているため、
時間がたってから崩れることもあります。
土砂災害が起こりやすくなる条件は次のとおりです。
- 長時間続く大雨
- 短時間の猛烈な雨
- 台風や線状降水帯
- 急な斜面や崩れやすい地質
- 谷や沢が集まる場所
- 地震で亀裂が入った斜面
- 排水が不十分な盛土や造成地
- 樹木の伐採や不適切な土地利用
大雨が「引き金」になることは多いものの、
地形、地質、過去の雨、地震、盛土など、
複数の条件が重なって発生します。
ネパール・広島・熱海で起きたこと
ネパールの土砂災害
ネパールには急な山地が多く、地質も不安定です。
モンスーンの大雨が続くと、
斜面崩壊や土石流、洪水が各地で発生し、
道路や橋、住宅が同時に被害を受けます。
山間部では道路が少ないため、
土砂崩れで道が寸断されると、
救助や物資輸送が難しくなることも大きな問題です。
ネパール政府も道路周辺の斜面対策や防災体制の強化を進めています。
広島の土砂災害
2014年8月の広島市では線状降水帯による集中豪雨が発生し、
170件を超える土砂災害が起きました。
また、2018年7月の西日本豪雨でも、
広島県内の各地で土石流などが同時に発生しました。
住宅地のすぐ後ろに山や谷がある地域では、
土砂が短時間で家まで到達する危険があります。
熱海の土石流
2021年7月、静岡県熱海市で大規模な土石流が発生しました。
記録的な大雨に加えて、
上流部にあった盛土の崩落が被害を大きくしたとされています。
この災害をきっかけに、
土地の用途にかかわらず
危険な盛土を規制する「盛土規制法」が整備されました。
土砂災害を防ぐ手立てはある?
「山が崩れるのを、人の力で完全に止められるの?」
「完全に防ぐのは難しいけれど、土砂を受け止めたり、
住宅に届きにくくしたりする方法はあるよ」
行政が行う対策
- 砂防堰堤で土石流の勢いを弱める
- 擁壁や斜面を補強して崩落を防ぐ
- 排水設備で斜面に水がたまるのを防ぐ
- 危険な盛土を調査して改善を命じる
- 土砂災害警戒区域を指定する
- 雨量や斜面の状態を監視する
ただし、砂防堰堤や擁壁があっても
安全が保証されるわけではありません。
想定を超える雨では、土砂が施設を越えることもあります。
家庭で行う対策
- ハザードマップで自宅の危険度を確認する
- 自宅の裏に崖、谷、沢がないか調べる
- 明るいうちに移動できる避難先を決める
- 崖や川沿いを避けた避難経路を考える
- 防災リュックと靴を玄関付近に置く
- 家族の連絡方法を決めておく
- 気象庁の「土砂キキクル」を確認する
ハザードマップの区域外でも、
土砂災害が絶対に起こらないとは限りません。
近くに斜面や沢がある場合は、周囲の変化にも注意します。
土砂災害の前触れ
次のような異変は、斜面が動き始めている可能性があります。
- 崖から小石や土が落ちてくる
- 斜面や地面に亀裂ができる
- 崖から急に水が湧き出す
- 湧き水が濁る、または止まる
- 木が傾いたり、根が切れる音がしたりする
- 地鳴りや「ミシミシ」という音が聞こえる
- 川の水が急に濁る
- 雨が降っているのに沢の水が急に減る
- 腐った土のような臭いがする
前触れが現れないまま崩れる場合もあります。
前兆を待って避難するのではなく、
気象情報を使って早めに行動することが基本です。
いつ避難すればいい?
避難の目安は警戒レベルです。
警戒レベル2
ハザードマップ、避難場所、避難経路を確認します。
夜間に大雨が予想される場合は、
この段階から早めの避難を考えます。
警戒レベル3「高齢者等避難」
高齢者、障害のある人、乳幼児連れなど、
避難に時間がかかる人は危険な場所から避難します。
それ以外の人も、
崖や沢の近くに住んでいる場合は自主的に避難を始めましょう。
警戒レベル4「避難指示」
危険な場所にいる人は全員避難します。
警戒レベル5を待ってはいけません。
レベル5では、すでに災害が発生または切迫しており、
安全に移動できない可能性があります。
安全な避難方法
雨が激しくなる前
指定避難所だけでなく、安全な親戚や知人の家、
危険区域外の宿泊施設などへ移動します。
避難経路では、次の場所を避けます。
- 崖の下
- 谷や沢の中
- 川沿い
- 山側の道路
- 土砂が集まりやすい谷の出口
- 冠水した道路や橋
できるだけ明るいうちに、
歩いて移動できる雨量のうちに避難します。
すでに大雨になっていたら
豪雨の中を無理に避難所へ向かうと、
土砂、増水、冠水に巻き込まれる危険があります。
外へ出るほうが危険な場合は、
近くの頑丈な建物へ移るか、
自宅の中で少しでも安全な場所へ移動します。
自宅内では、崖や山と反対側の部屋、
できれば2階以上へ移ります。
ただし、これは逃げ遅れたときの緊急的な行動であり、
早めの立ち退き避難の代わりではありません。
ラボる君の考察
「砂防堰堤や擁壁があれば、少しは安心できる。
でも、どんな大雨にも耐えられるわけではないんだ」
土砂災害から命を守るうえで、
もっとも重要なのは
「土砂が動き始める前に危険な場所から離れること」です。
線状降水帯が発生してから避難先を探すのでは遅れる可能性があります。
平常時にハザードマップを開き、
家族で「どこへ、いつ、どの道で逃げるか」を決めておきましょう。
「空振りでも、無事ならそれでいい。
少し早すぎるくらいの避難が、家族を守るんだね」
防災すぐるパパの言葉に、らぼる君は大きくうなずきました。

