高温は災害になる?30年前との違いと人・農作物・海への影響

高温災害 防災ステップ1ー知る
高温災害

「暑いだけなら、災害とはいえないんじゃない?」

防災すぐるパパの疑問に、らぼる君が答えます。

「今の高温は、人の命だけでなく、農作物や森林、
 海の生き物にも被害を広げる災害なんだ。
 停電や水不足まで重なることもあるよ」

30年前より、どれくらい暑くなった?

気象庁の観測では、
日本の年平均気温は
長期的に100年当たり約1.44℃の割合で上昇しています。

単純計算では、30年間で約0.43℃の上昇に相当します。

ただし、年ごとの気温には自然な変動があるため、
「30年前の1年」と「現在の1年」だけを比べると、
差がさらに大きくなる場合があります。

年平均気温の基準値からの差1995年2025年単年同士の差
日本−0.50℃+1.23℃+1.73℃
世界−0.15℃+0.48℃+0.63℃

※基準値は1991~2020年の平均。

単年同士の差には、その年特有の気象条件も含まれます。

世界でも2015~2025年は、観測史上もっとも暑い11年間となりました。
地球温暖化を背景に、記録的な高温が起こりやすくなっています。

気温が体温に近づくと何が起こる?

人間の体は、汗を蒸発させたり、
皮膚から熱を逃がしたりして体温を調節しています。

ところが、気温が体温に近づくと、
体から周囲へ熱を逃がしにくくなります。

さらに湿度が高いと汗が蒸発しないため、
気温が37℃未満でも熱中症になる危険があります。

「気温だけを見ればいいの?」

「湿度や日差し、風も大切だよ。
 だから暑さ指数のWBGTを確認するんだ」

高温によって、次のような症状が現れます。

  • めまい、立ちくらみ、大量の発汗
  • 筋肉のけいれん、頭痛、吐き気
  • 強いだるさ、判断力の低下
  • 意識障害、けいれん、異常な高体温
  • 重症の場合は臓器障害や死亡

意識がもうろうとしている、自分で水を飲めないときは、
すぐに119番通報します。

涼しい場所へ移し、首、わきの下、足の付け根などを冷やしましょう。

意識が悪い人に無理に水を飲ませてはいけません。

農作物への被害

高温は、農作物の収穫量だけでなく、品質にも影響します。

お米

稲穂が出た後に高温が続くと、
米粒が白く濁る「白未熟粒」が増えます。

見た目や品質が低下し、等級が下がることがあります。

野菜

トマトやイチゴなどは、暑さによって花が咲きにくくなったり、
実がつかなかったりします。
乾燥や水不足、害虫の増加も心配です。

果物

リンゴ、ブドウ、ミカンなどでは、日焼け、着色不良、
成熟の遅れ、実がつきにくくなる被害が発生します。

こうした影響が重なると、店頭に並ぶ量が減り、
食品価格の上昇につながる可能性があります。

森林火災が大きくなる

高温だけで山火事が発生するわけではありません。

しかし、高温や少雨、干ばつによって草木が乾燥すると、
火がつきやすくなります。

そこに、たき火、たばこ、機械の火花、落雷などが重なり、
強い風が吹くと、火災が急速に広がります。

森林火災は森林を失わせるだけでなく、
煙による健康被害、住宅への延焼、土砂災害、
生態系の破壊にもつながります。

空気が乾燥している日は火を扱わず、
煙や炎を見つけたら近づかずに119番通報します。

海と魚介類への影響

日本近海の年平均海面水温は、
2024年までの約100年間で約1.33℃上昇しています。

海水温が上がると、
魚は暮らしやすい水温を求めて北や沖合へ移動します。

その結果、地域によって次のような変化が起こります。

  • サンマ、スルメイカ、サケなどの漁獲量が減る
  • ブリやサワラなどが従来より北の海域で獲れる
  • 漁場が遠くなり、漁船の燃料費が増える
  • 海藻が減る「磯焼け」が広がる
  • アワビなど、海藻を餌やすみかにする生き物が減る
  • 養殖魚や貝類が高水温で弱り、病気や大量死の危険が高まる

ただし、魚介類の減少は高水温だけで決まるものではありません。
海流、餌、漁獲、産卵環境など、複数の原因が関係します。

高温災害に備えて家族でできること

らぼる君は、家族に次の備えを提案しました。

  • 気温だけでなく、暑さ指数WBGTを確認する
  • エアコンを我慢せず、扇風機や遮光カーテンも併用する
  • 水、経口補水液、保冷剤を備蓄する
  • 停電時に使える充電式扇風機やポータブル電源を用意する
  • 涼しく過ごせる公共施設や避難先を確認する
  • 高齢者や乳幼児を一人にせず、家族で声をかけ合う
  • 暑い時間帯の外出や農作業を避ける
  • 山林では火を使わず、火災情報や避難情報を確認する

まとめ

「高温は、人が倒れるだけの災害じゃないんだね」

まどかママの言葉に、ラボる君がうなずきます。

高温は、健康、食料、森林、海、電気、水、
地域経済にまで影響する広域災害です。

発生してから逃げるだけではなく、
日頃から暑さ指数を確認し、
停電や断水も想定して備えることが大切です。

「暑くなってから考えるのではなく、
暑くなる前に備える。

これが高温災害から家族を守る第一歩だよ」

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