地震や台風、大雨などの災害が起きたとき、
家族の安否確認や
避難情報の収集に欠かせないのがスマートフォンです。
しかし、スマートフォンの本体が壊れていなくても、
基地局の停電や通信回線の混雑によって、
電話やインターネットが使えなくなることがあります。
「スマホを持っていれば、いつでも家族に連絡できるよね?」
ラボる君が尋ねると、防災すぐるパパは少し考えて答えました。
「スマホは大切だけど、それだけに頼るのは危ないね。
電話がつながらない場合も考えて、
何通りかの連絡方法を決めておこう」
今回は、
災害時にスマートフォンが使えなくなる理由と、
家族をつなぐ連絡方法についてラボってみましょう。
災害が起きてもスマホは使える?
災害が起きたからといって、
すぐにすべてのスマートフォンが使えなくなるわけではありません。
被害の小さい地域では通常どおり使えることもあれば、
音声通話だけがつながりにくく、
インターネットやメッセージは使える場合もあります。
一方、大規模な地震や水害では、
長時間にわたって通信できなくなる可能性があります。
災害時に起こり得る状態
| スマホの状態 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 電話がつながらない | 通話の集中、通信規制、基地局の障害 |
| インターネットが遅い | 利用者の集中、回線の混雑 |
| 圏外になる | 基地局の停止、伝送路の切断 |
| Wi-Fiが使えない | 停電、固定回線やルーターの故障 |
| 電池が充電できない | 停電、充電設備の不足 |
| スマホ自体が使えない | 水没、落下、破損、電池切れ |
「電話が使えなくても、メッセージなら送れる場合があるんだね」
「そう。ただし、すぐに届くとは限らないから、
送信済みの表示も確認しようね」
災害時に通信障害が起きる理由
電話が一斉に集中する
大きな地震が起きると、
多くの人が家族や知人へ一斉に電話をかけます。
処理できる通信量には限界があるため、
電話がつながりにくくなる「輻輳(ふくそう)」が発生します。
通信網を守り、警察、消防、救急などの重要な通信を確保するため、
携帯電話会社が一般の通話を制限する場合もあります。
何度も電話をかけ続けると、さらに混雑を大きくしてしまいます。
緊急性の低い電話は控え、
SMSや災害用伝言サービスへ切り替えましょう。
携帯電話の基地局が止まる
スマートフォンは、近くの基地局と電波をやり取りしています。
その基地局から先は、
通信ケーブルや中継設備を通ってネットワークにつながっています。
災害によって次の設備が被害を受けると、
スマートフォンが圏外になることがあります。
- 基地局
- 通信ケーブル
- 中継設備
- 交換設備
- 基地局へ電気を送る設備
停電が長引いて非常用電源が切れる
基地局には非常用のバッテリーや発電機が備えられています。
しかし、停電が長期化すると、
バッテリーや発電機の燃料が尽きる場合があります。
災害発生直後は使えていても、
数時間後や翌日になって圏外になる可能性があるのです。
ラボる君は家族に伝えました。
「つながっているうちに、
短い安否情報を送っておくことが大事なんだね」
電話がつながらないときの連絡方法
災害時は、一つの方法だけに頼らず、
つながる手段を順番に試します。
まず短いSMSやメッセージを送る
音声通話が混雑していても、
SMSやインターネットを使ったメッセージが送れることがあります。
文章は短くまとめましょう。
無事です。○○小学校に避難します。
家族3人一緒です。次は18時に確認します。
最低限、次の情報を伝えます。
- 無事か、けがをしているか
- 現在地または避難先
- 誰と一緒にいるか
- 次に連絡を確認する時刻
写真や動画は通信量が大きいため、
回線が混雑しているときは送信を控えます。
まず短い文字で安否を伝えることを優先しましょう。
ただし、SMSも必ず届くわけではありません。
送信できなかった場合や、配信が遅れる場合もあります。
災害用伝言ダイヤル「171」を使う
災害用伝言ダイヤル171は、
災害によって電話がつながりにくくなった場合に
提供される「声の伝言板」です。
録音する場合
- 「171」に電話する
- 録音の「1」を押す
- 家族で決めた電話番号を市外局番から入力する
- 案内に従って伝言を録音する
再生する場合
- 「171」に電話する
- 再生の「2」を押す
- 家族で決めた電話番号を市外局番から入力する
- 登録された伝言を聞く
利用時に迷わないよう、
どの電話番号に伝言を登録するかを家族で決めておきましょう。
災害用伝言板・web171を利用する
携帯電話会社の災害用伝言板では、
自分の安否を文字で登録し、
家族が電話番号を使って確認できます。
NTT東日本・西日本が提供する「web171」も、
インターネットから安否情報を登録・確認できるサービスです。
音声通話を繰り返すのではなく、
一つの伝言を家族みんなで確認できるところが利点です。
利用方法や提供条件はサービスによって異なるため、
平常時に自分の携帯電話会社の案内を確認しておきましょう。
SNSは「伝達」には便利だが情報確認には注意する
SNSやメッセージアプリも安否確認に使えます。
家族のグループを作っておけば、
一度の送信で全員へ現在地を伝えられます。
しかし、災害時のSNSには、
古い情報、誤情報、加工された画像などが広がる場合があります。
避難指示や被害情報は、次の公式情報で確認しましょう。
- 気象庁
- 国や自治体
- 警察・消防
- 携帯電話会社
- 鉄道・道路などの運営事業者
- NHKなどの報道機関
情報は「発表元」と「発表時刻」を確認することが大切です。
インターネットが使えない場合の連絡方法
公衆電話を使う
災害時には、携帯電話より公衆電話がつながりやすい場合があります。
110・118・119への緊急通報には硬貨やテレホンカードは必要ありません。
また、災害の状況によって公衆電話が無料化される場合があります。
ただし、停電時にはテレホンカードを利用できない公衆電話があります。
平常時に、
自宅、職場、学校、避難所周辺の公衆電話の場所を確認しておきましょう。
避難所の特設公衆電話を確認する
避難所などには、
災害時用公衆電話があらかじめ設置されている場合があります。
開設後は171への登録や家族への連絡に利用できます。
ただし、すべての避難所で直ちに使えるとは限りません。
順番を守り、通話は短時間にとどめましょう。
災害用Wi-Fi「00000JAPAN」を利用する
大規模災害や深刻な通信障害が発生したとき、
公衆無線LANが
「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」
という名称で無料開放されることがあります。
契約している携帯電話会社に関係なく利用できますが、
いつでも、どこでも開放されるわけではありません。
また、00000JAPANは利便性を優先しており、
基本的に通信が暗号化されていません。
利用時は次の操作を避けましょう。
- ネットバンキング
- クレジットカード番号の入力
- 通販サイトでの購入
- 重要なパスワードの入力
- 機密情報の送受信
利用は、安否確認や避難情報の収集など、
必要最低限にとどめます。
スマホが圏外でも使える機能
通信できない状態でも、
スマートフォン本体に保存されている情報や一部の機能は使えます。
- カメラ
- 懐中電灯
- 時計・アラーム
- ダウンロード済みの地図
- 保存済みの連絡先
- スクリーンショット
- オフラインで使えるメモ
- ダウンロード済みの防災資料
- 端末内に保存した家族写真や身分証明書の控え
事前に避難経路やハザードマップを端末へ保存しておけば、
インターネットが止まっても確認できます。
ただし、スマホの電池は限られています。
明るさを下げ、
不要なアプリやBluetoothを停止するなど、
節電を心がけましょう。
緊急通報はスマホが圏外でもできる?
「圏外と表示されていても、119には必ず電話できるの?」
まどかママの質問に、ラボる君は答えました。
「別の携帯電話会社の電波を利用できる場合もあるけれど、
必ず通報できるわけではないよ」
基地局そのものが停止している場合や、
利用できる電波が周囲にない場合は、
緊急通報もできません。
端末や契約、地域によって利用条件も異なります。
緊急通報ができない場合は、
安全を確保したうえで次の方法を探します。
- 電波が届く安全な場所へ移動する
- 近くの人や店舗に連絡を頼む
- 公衆電話を利用する
- 警察署、交番、消防署へ直接知らせる
- 避難所の職員や自治体職員へ伝える
通信を求めて危険な場所へ移動してはいけません。
津波や土砂災害の危険がある場合は、連絡より避難を優先します。
災害時のスマホは電池切れにも注意
通信設備が復旧しても、
スマートフォンの電池が切れていたら連絡できません。
家庭で備えたい充電用品
- 容量10,000~20,000mAh程度のモバイルバッテリー
- 家族の端末に合った充電ケーブル
- 乾電池式充電器
- 車載USB充電器
- ポータブル電源
- 必要に応じてソーラーパネル
- ケーブル変換アダプター
モバイルバッテリーは保管するだけでは自然放電します。
少なくとも数か月ごとに残量や膨張、
発熱、端子の破損を確認しましょう。
車内への置きっぱなしは、
高温による劣化や発火の危険があるため避けます。
電池を長持ちさせる方法
- 画面を暗くする
- 省電力モードにする
- 不要なアプリを終了する
- Bluetoothを切る
- 電波が完全にない場所では機内モードを使う
- 安否連絡は短い文章にする
- 動画の視聴や投稿を控える
- 家族で1台ずつ交代して使う
機内モード中は通話やモバイル通信を受けられません。
定期的に解除して、着信やメッセージを確認しましょう。
家族で決めておきたい「連絡しないで会える方法」
災害直後に家族全員が電話をかけ合うと、
すれ違いが起こります。
例えば、防災すぐるパパは勤務先、
まどかママは買い物先、
ラボる君は学校にいるかもしれません。
連絡が取れないからといって、
それぞれが家族を探して危険な場所へ移動するのは危険です。
家族の防災連絡ルール
次の内容を紙にも書いて、防災リュックへ入れておきましょう。
| 決めておくこと | 家族の記入例 |
|---|---|
| 第一集合場所 | ○○小学校 |
| 第二集合場所 | ○○公園北側入口 |
| 自宅が危険な場合 | 親戚の○○さん宅 |
| 171に使う番号 | 自宅の固定電話番号 |
| 遠方の連絡先 | 県外に住む親戚 |
| 確認時刻 | 毎日9時・15時・20時 |
| 学校からの避難先 | 学校指定の避難場所 |
| 職場からの行動 | むやみに帰宅せず職場待機 |
遠方の親戚を連絡の中継役に決める方法もあります。
被災地内ではつながりにくくても、
被災地外への通信がつながる場合があるためです。
災害が起きた直後の連絡手順
ラボる君は、家族で実行する順番をまとめました。
1.最初に自分の安全を確保する
地震の揺れ、津波、火災、土砂災害から身を守ります。
スマホを操作しながら避難してはいけません。
2.短い安否メッセージを送る
「無事・場所・次の行動」の3点だけを家族グループへ送ります。
3.電話を何度もかけ続けない
緊急でなければ、SMS、メッセージ、災害用伝言板へ切り替えます。
4.171またはweb171へ伝言を残す
家族が別々の場所にいるときは、
あらかじめ決めた電話番号へ安否を登録します。
5.公衆電話や災害用Wi-Fiを探す
スマホが圏外の場合は、
避難所や安全な公共施設で代替手段を確認します。
6.決めた避難先で待つ
連絡が取れなくても、危険を冒して家族を探し回らず、
事前に決めた行動を守ります。
平常時にやっておきたい通信訓練
災害用サービスは、名前を知っているだけでは十分ではありません。
171とweb171には、
災害発生時以外にも体験利用できる日があります。
家族で実際に録音と再生を試してみましょう
あわせて次の準備も行います。
- 家族全員の電話番号を紙に書く
- 自治体の防災情報を登録する
- ハザードマップを保存する
- 必要な防災アプリを入れる
- 位置情報の共有方法を確認する
- モバイルバッテリーを充電する
- 公衆電話の場所を調べる
- 家族の集合場所を実際に歩いて確認する
ラボる君のまとめ
「災害が起きても、スマホが必ず使えなくなるわけではない。
でも、必ず使えるとも限らないんだね」
スマートフォンは、
情報収集、安否確認、照明、地図、記録などに使える
重要な防災用品です。
しかし、スマホ本体が無事でも、
通信の混雑、基地局の停電、設備の損傷、
電池切れによって使えなくなる可能性があります。
大切なのは、複数の方法を用意することです。
- SMSやショートメッセージ
- 災害用伝言ダイヤル171
- 災害用伝言板・web171
- 公衆電話・特設公衆電話
- 災害用Wi-Fi「00000JAPAN」
- ラジオや自治体の情報
- 事前に決めた集合場所
- 紙に書いた連絡先
通信が途切れても、
家族で決めたルールまで消えることはありません。
スマートフォンを備えるだけでなく、
「スマホが使えないときにどうするか」
まで話し合っておきましょう。

