災害への備えというと、
飲料水や非常食、懐中電灯などを最初に思い浮かべます。
しかし、断水や停電が長引いたときに困るのが、
トイレ、手洗い、歯磨き、入浴などの衛生問題です。
「食べ物と水があれば、しばらく生活できるんじゃないかな?」
防災すぐるパパの言葉を聞いたラボる君は、
災害時に必要な衛生用品について調べてみました。
「避難生活では、体を清潔に保てないことが原因で
感染症や体調不良が起こることもあるんだ。
衛生用品も命と健康を守る防災グッズなんだよ」
災害時に衛生用品が必要な理由
地震や豪雨などで上下水道が被害を受けると、
次のような問題が起こります。
- 水洗トイレが流せない
- 手や食器を十分に洗えない
- お風呂やシャワーが使えない
- 洗濯ができない
- 歯磨きに使う水が不足する
- ごみや使用済みトイレの処理が難しくなる
- 避難所で感染症が広がりやすくなる
避難所のように大勢が集まる場所では、
感染性胃腸炎や呼吸器感染症などが広がる可能性があります。
家庭で備えたい衛生用品一覧
「種類が多いけれど、何から準備すればいいの?」
まどかママの質問に、ラボる君が用途別に整理しました。
| 用途 | 備えておきたいもの |
|---|---|
| トイレ | 携帯トイレ、凝固剤、便袋、トイレットペーパー、防臭袋、消臭剤 |
| 手洗い | 液体石けん、手指消毒液、ウェットティッシュ、ペーパータオル |
| 口腔ケア | 歯ブラシ、歯磨き粉、液体歯磨き、口腔ケアシート、入れ歯用品 |
| 体の清潔 | 大判ボディーシート、清拭タオル、ドライシャンプー、汗拭きシート |
| 感染対策 | マスク、使い捨て手袋、体温計、ティッシュ |
| 女性用品 | 生理用品、おりものシート、サニタリー袋、中身の見えない袋 |
| 乳幼児用品 | 紙おむつ、おしり拭き、肌着、使用済みおむつ用防臭袋 |
| 高齢者・介護用品 | 大人用おむつ、尿取りパッド、清拭用品、口腔ケア用品 |
| 着替え・洗濯 | 下着、靴下、圧縮袋、洗濯ネット、洗濯用袋 |
| ごみ処理 | 大小のポリ袋、防臭袋、新聞紙、養生テープ |
すべてを同じ袋に入れるのではなく、
「トイレ用」
「口腔ケア用」
「体拭き用」
のように分けておくと、
暗い場所でも取り出しやすくなります。
最優先で備えたい携帯トイレ
断水したからといって、
便器へ水を流してよいとは限りません。
排水管が壊れていると、
汚水漏れや逆流を起こす可能性があります。
自治体や管理会社から安全が確認されるまでは、
無理に水を流さず携帯トイレを使用します。
必要な備蓄量
携帯トイレは、1人1日5回として最低3日分、できれば7日分を備えます。
- 1人分:35回分 (5回✕7日分)
- 2人家族:70回分 (5回✕7日分✕2人)
- 3人家族:105回分 (5回✕7月分✕3人)
- 4人家族:140回分 (5回✕7日分✕4人)
経済産業省も、1人当たり週35回分を備蓄の目安としています。
携帯トイレの基本的な使い方
- 水洗便器が汚れないよう、大きなポリ袋をかぶせます。
- その上から排便用の便袋を取り付けます。
- 使用後に凝固剤を振りかけます。
- 空気を抜きながら袋の口をしっかり結びます。
- 防臭袋やふた付き容器に一時保管します。
- 自治体の案内に従って処分します。
便袋、凝固剤、使い捨て手袋、トイレットペーパーを
1セットにしておくと便利です。
一度、平常時に家族で使い方を確認しておきましょう。
手洗いができないときの備え
水が使える場合は、
流水と石けんによる手洗いが基本です。
水が使えない場合に備えて、
手指消毒液やウェットティッシュも用意します。
特に手を清潔にしたいのは、次のタイミングです。
- トイレを使用した後
- 食事や調理の前
- おむつを交換した後
- ごみや汚物に触れた後
- 帰宅したとき
- せきや鼻をかんだ後
手が泥や汚物で目に見えて汚れている場合は、
消毒液だけに頼らず、使える水と石けんで洗います。
「手指消毒液があれば、ウェットティッシュはいらないの?」
「体や物を拭くときにも使うから、両方あると安心だよ。
ただし、口や目の周りには使える種類を確認してね」
歯磨きと口腔ケアも忘れずに
避難生活では、歯磨きを後回しにしがちです。
しかし、口の中が不衛生になると、
虫歯や歯周病だけでなく、
特に高齢者では
細菌が唾液などと一緒に肺へ入る「誤嚥性肺炎」の危険も高まります。
備えておきたいものは次のとおりです。
- 家族一人ひとりの歯ブラシ
- 少量の歯磨き粉
- 水を使わない液体歯磨き
- 口腔ケア用ウェットシート
- デンタルフロス
- 入れ歯ケースと洗浄用品
- うがい用の小さなコップ
水が少ないときは、
歯ブラシを少量の水でぬらして磨き、
ティッシュで汚れを拭き取りながら使います。
お風呂に入れないときの衛生用品
断水すると、数日から長期間お風呂に入れないことがあります。
体の汚れや汗を放置すると、
かゆみ、湿疹、床ずれ、感染症などの原因になります。
次の用品を備えておくと、水をほとんど使わずに清潔を保てます。
- 大判のボディーシート
- 清拭用タオル
- ドライシャンプー
- 水のいらない泡タイプの洗浄剤
- タオルと手ぬぐい
- 保湿剤
- 下着と靴下
- 中身の見えない着替え袋
首、わきの下、胸の下、足の付け根、足など、
汗や汚れがたまりやすい部分を優先して拭きます。
肌が弱い人や乳幼児には、
アルコールや香料の少ない製品を選びましょう。
女性・乳幼児・高齢者に合わせた備え
衛生用品は家族全員が同じとは限りません。
女性の備え
生理用品は普段使っている種類を少し多めに備蓄します。
サイズ違いのナプキン、サニタリーショーツ、鎮痛薬、
中身の見えない防臭袋も一緒にまとめます。
乳幼児の備え
紙おむつやおしり拭きは消費量が多いため、
物流が止まることを考えて多めに用意します。
子どもの成長に合わせて、
サイズを定期的に見直しましょう。
高齢者・介護が必要な人の備え
大人用おむつ、尿取りパッド、清拭用品、入れ歯用品など、
本人が普段使用している製品を優先します。
一般的な救援物資では、
種類やサイズが合わない場合があります。
防災リュックと自宅備蓄に分けよう
衛生用品をすべて防災リュックへ入れると、
重くなってしまいます。
持ち出し用と自宅用に分けて準備します。
防災リュックに入れるもの
- 携帯トイレ数回分
- トイレットペーパーの小分け
- マスク
- 手指消毒液
- ウェットティッシュ
- 歯ブラシ
- タオル
- 生理用品
- 下着
- ポリ袋と防臭袋
- 必要な紙おむつ
自宅に多めに備蓄するもの
- 7日分の携帯トイレ
- トイレットペーパー
- 大判ボディーシート
- ドライシャンプー
- 液体石けん
- 紙おむつや生理用品
- ごみ袋と防臭袋
- 洗濯用品
- 使い捨て手袋
車中泊を想定する場合は、
携帯トイレ、目隠し用ポンチョ、防臭袋、消臭剤を
車にも分けておくと安心です。
衛生用品の保管と点検方法
衛生用品にも乾燥、液漏れ、使用期限、サイズ変更があります。
半年に一度を目安に確認します。
- ウェットティッシュが乾いていないか
- 消毒液や液体歯磨きの期限が切れていないか
- 携帯トイレの袋や凝固剤が劣化していないか
- 紙おむつや衣類のサイズが合っているか
- 家族構成や体調に変化がないか
- 保管場所を家族全員が知っているか
普段使う商品を少し多めに買い、
古いものから使って買い足す「ローリングストック」にすると、
無駄なく備蓄できます。
ラボる君の気づき
「衛生用品は、災害が起きた直後には目立たない。
でも、避難生活が長くなるほど大切になるんだ」
飲料水や非常食が命をつなぐ備えなら、
トイレ、手洗い、歯磨き、体拭き用品は
健康と尊厳を守る備えです。
防災すぐるパパが携帯トイレの必要数を計算し、
まどかママが家族それぞれに必要な用品を確認しました。
「わが家は4人だから、
携帯トイレは7日分で140回分。
衛生用品も家族に合わせて準備しないといけないね」
「そうだね。買って保管するだけでなく、
一度使ってみることも大切だよ」
ラボる君の言葉をきっかけに、
家族みんなで衛生用品の点検を始めました。

